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令和4年度予算討論 大津裕太議員

地域政党京都党市会議員団は、議第1号令和4年度一般会計予算には反対し、議2号~38号、40号~65号、67号~72号、179号及び194号の各議案には賛成の態度を表明しておりますので、議員団を代表して討論致します。

令和4年度予算は、行財政改革計画による全庁をあげた取組みの大部分が反映されたはじめての予算であり、本市が財政危機を克服する見通しを立てられるかを示す重要な予算であります。まち美化事務所の統合をはじめとした業務の合理化、各局事業の廃止・縮小等の見直し、全ての補助金・イベントの見直し、使用料・手数料の改訂など、様々な改革や見直しが行われました。

各種使用料の見直しは、行政の負担を減らして利用者の負担を増やすという点に焦点が当たりがちですが、本質的には、市民全体で薄く広く負担してもらうか、利用者に応益負担で負担してもらうかの選択です。利用者の皆様にこれまでより負担をお願いすることは心苦しいことではありますが、市民全体の目線で考えれば、負担割合をどうするのが公平で適正なのかという議論は決して否定するべきものではありません。ただし、利用料の値上げによる利用者数減を想定されていないものもあり、かえって収益を悪化させる可能性のある施設が含まれていることは留意しなければいけません。これらの施設は、利用者動向を注視しながら随時柔軟な対策を検討していくよう要望しておきます。

民間保育園等職員の給与等運用事業補助金の見直しは、各園への金額の通知が直前になったことをはじめ諸所の周知が不十分であることは否めません。経営に大きな影響を受ける園もある中、制度設計のプロセスは反省すべき点があったと感じます。一方、国の補助金と本市の補助金が二重で給付されていたことや、本市の補助金が保育園職員の給与に充当することを目的としている中、他の用途にも流用されていたことは是正してしかるべきことです。当局でも各園への個別の影響も丁寧に確認していますが、一部の園を除いては、職員給与を維持しながら黒字経営できることは決算状況などからわかります。一方で、一部の園で経営が厳しくなる現実もあります。当局としては、個別に相談にのると答弁しておりますが、何をしてくれるのか、本当に解決するのか、不安を感じる園があるのは間違いありません。これらの園には、具体的な解決方針が示せるように努力いただきたいと思います。また、当局としても宿題と捉えている、老朽化施設の整備に対する補助等も早急に方針を出していただくよう求めます。

「市バス・地下鉄事業経営ビジョン」については、現在の経営健全化団体からの脱却は必須であり、経営健全化計画の遂行は着実にしていただきたいと思います。しかし、「運賃改定」は最終最後の手段であり、その他の施策で避けることを目指すべきです。コロナ禍の状況など環境が改善し収益改善が見込める場合は、「運賃改定」、据え置きすることを求めます。

都市の成長戦略は、歳入増はもとより、本市の未来を決める大事な施策です。企業や現役世代の呼び込み、そのための都市計画、産業政策と、わが会派の考える京都市像と一致する点も多くあります。是非力強く進めて頂きたいと思います。行財政改革計画との紐づけでは、財源100億円捻出の実現可能性に疑問が残りますので、詳細なプロセス指標を定め、進捗を追えるようにするなどの対策を検討下さい。

ここまで述べてきました通り、行財政改革計画の方向性や今回取り組まれた改革には、わが会派も賛同しております。これまでの枠組みを超えた前進があったことも評価をしておりますので、要望を添えた上で、各議案に賛成しております。

その上で、一般会計予算案に反対する理由を申し述べます。

財政危機克服のための行財政改革計画にも関わらず、「収支差は行革債等の範囲内に留め、計画外の取崩から脱却」と予算書に明記し、中長期的にも特別の財源対策を前提としたプランとなっています。総括質疑でも指摘しましたが、公債償還基金の取崩しからの脱却の優先順位が高いということは理解していますが、それを背景に行革債や調整債の発行は許容しているような表現が散見されます。これらの特例的な市債が増加しつづけることで、市長が順調に減っているとこれまで主張してきた実質市債残高も、国が負担する交付税措置分を除いた、本市の純負担額では増加し続けていることが明確となり、その弊害は明らかです。市長が記者会見で「財政危機克服の見通しが立った」と発言したように、基金の枯渇を回避することを財政危機克服と捉える考え方は、財政危機の克服ではなく延命に過ぎません。

消費的経費の見直しが概ね終わり、それでも特別の財源対策からの脱却の目途が立たない中、これ以上の市民負担の増加は慎重に慎重を期さなければならず、投資的経費と人件費に改めて焦点を当てる他ありません。

投資的経費は、毎年度上限を設定してコントロールするとしながらも、では具体的にどの工事を減らしたり簡素化したりするのかの説明がありません。学校統合時に本当に新築校舎が必要なのか、中央卸売市場はもう少し簡素化できないのか、など具体的な方針変更を検討しなければなりません。また、既に着工していますので、中止はできませんが、それでも、芸大移転の整備費は今回の予算でも約120億円計上されており、この財政危機のタイミングですべきではなかったですし、その財源があれば選択肢も広がったはずです。
人件費では、年齢構成などの事情があるにせよ、他都市に比べて抜きんでて高い現実があり、退職による自然減を待つのでは遅すぎます。この財政危機の状況下では臨時的にでも給与カット等による人件費の早期抑制をしなければなりません。また、今回の行財政改革計画は、バランスを見ると止むを得ないものも含め、それでも市民に負担をお願いするものが大変多くあります。そんな中で、行財政改革計画で掲げた本市職員の給与カット50億円を、人事院勧告を理由に終わらせたことは、市民が納得するとは到底思えません。

この約1年半の間に、確かに改革は前に進んでおります。しかし、中期の見通しを見る限り、10年後もやはり赤字を垂れ流している姿が見えます。このままでは、結局、特別の財源対策を脱却に失敗したこれまでの京プランと同じ結果になってしまいます。収支均衡、特別の財源対策からの脱却までの道筋を明確にすることは、財政破綻の危機になるまで財政問題を先送りしてきた市長の最低限の責任です。この責任を果たさずして、「未来に責任」と言えるのでしょうか。赤字は、未来の納税者、つまり、子ども達・孫達のお金を先食いしているということを改めて認識下さい。


以上、反対理由を述べ、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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