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代表質問 小山田春樹議員(2021年9月議会)

右京区選出の小山田春樹です。京都党市会議員団を代表して、江村理紗議員に続き市政一般について質問いたします。
まず、質問に先立ち、新型コロナウィルス感染症でお亡くなりになった方々に対し哀悼の意を表し、闘病中の方々のご回復をお祈りいたします。あわせて、医療関係者のみなさまの日夜の奮闘に心から感謝申し上げます。

1、コロナ禍と子どもたちの教育・学習について

まず、コロナ禍と教育について質問いたします。新型コロナウィルスの感染拡大防止策を進めるにあたり、子どもたちの教育をどのように守り、コロナ禍が学習環境に与えるマイナスをどうやって最小限にしていくかが大きな課題でした。コロナ禍に伴う休校措置で「授業の遅れは出ないだろうか?」「学習に支障は出ないだろうか?」など、様々な不安がよぎりました。こうした中で、京都市においては、早い段階からタブレット端末を活用した小学校のオンライン授業実施に取り組み、端末を一人一台分確保したことは高く評価させていただきます。令和2年の初頭から今日まで1年半余りの期間において、保護者の皆さん、学校教育の現場の皆さん、教育委員会をはじめ、市の関連部署の担当者の努力により、感染拡大の防止と学習の両立が図られてきました。関係者の皆さんに感謝の意を表したいと思います。

しかし、まだまだ課題はたくさんあります。それは、各学校によりオンライン授業の実施状況に格差が生じていることです。取り組みが進んでいる学校がある一方で、それほど進んでいない学校、未だに対応していない学校があります。京都党市会議員団では、先に、門川市長と稲田教育長に対し、

①希望者全員がオンライン授業を受けられる体制づくり
②オンライン授業に関する周知

の徹底の2点を要請いたしました。最近子どもの感染が増加しており重症化するケースもあるため、学校での感染拡大と家族への感染が危惧される中で、「登校を控えたい」との保護者の声が多く寄せられています。また、保護者や子どもたちは、学校を休んだ場合の誤解や偏見に基づくいじめや差別を心配して、「オンライン授業を希望する」と言い出しづらい状況があります。他の都市において、いじめが起きているとの情報も寄せられています。コロナ禍の下でいじめや差別が起きないように細心の注意を払っていかなくてはならないと思います。そこで、市と教育委員会は、「オンライン授業が出来ること。または、出来るように準備していること」をアナウンスして、希望者が手を上げやすい状況を作り出して欲しいと要望致します。対面授業のみならず、オンライン授業の選択も自由に出来るようにしていくことが必要ではないでしょうか。

以上について、市長の見解をお聞かせ下さい。これまでの取り組みを振り返り、どのような成果があったのか、改善すべき点、今後解決しなくてはならない課題は何であるとお考えですか?

2、ポストコロナ、新時代の産業政策と伝統産業の振興について

さて、コロナ禍の長期化は、私たちの生活に大きな影響を与え、社会・経済生活全般に大きな打撃を与えています。世界的な規模による感染症の拡大と長期化は未曾有の危機を人類にもたらし、私たちの生き方、働き方、社会のあり方を根本的に転換する機会となっています。従来通りのやり方では、今後の展望を見いだし活路を開いて行くことは出来ません。否が応でも、新しい戦略が求められています。今こそ、全ての領域において、大胆に発想の転換を図る時
が来たと言えます。

京都市は、コロナ禍と同時に、財政危機が深刻化しており、このままの状況が続けば、数年後には財政再生団体に転落し、地方自治は機能しなくなってしまいます。文字通り、「財政再建待ったなし」の厳しい状況を迎えています。
徹底的な行財政改革により歳出を削減すると共に、税収を増やし歳入増加を図らなくてはなりません。そこで、重要になってくるのが、これからの産業政策です。新時代の産業政策を成功させていくことは、財政再建にとって極めて重要な課題だと言えます。
京都市は、これまで観光産業に大きく依存した収入構造となっていましたが、コロナ禍長期化により観光客は激減し、市バス・市営地下鉄をはじめとする公共交通機関の乗客数も大きく減りました。ホテル・旅館、飲食店、土産店などの観光関連産業が大きな打撃を受けており、早急に支援策を実施していく必要があります。コロナ禍が長期化する中で、観光産業そのものの今後の見通しが見いだせない状況です。ワクチン接種の普及による集団免疫力の向上、治療薬の開発で死亡率が減るなど、今後コロナ禍が収束したとしても、観光客がいつどこまで回復するかは見通しが立てにくい状況です。法定外新税である宿泊税の税収も回復には時間がかかりそうです。こうした状況を前にして、これからの観光政策をどうするかは、重要な課題だと言えます。私は、市民と対話をする活動の中で、「コロナ前に戻れば良いとは思わない」「観光客が減っても成り立つ商売をしたい」との声をよく聴きます。市民の間には、コロナ禍を乗り越えた新しい時代の経営のあり方を模索する動きが出ています。「市民生活と観光の調和」を言うのは簡単ですが、現実には観光客増加が市民生活にマイナスに働くことが多々あります。通学・通勤時間帯に、大勢の観光客が嵐電(京福電鉄)に乗り込み、通学・通勤客が電車に乗れなくなる光景を私は見たことがあります。市民生活を最優先に考え、市の財政再建を実現していく課題を踏まえた上で、これからの観光政策をどうするのか、非常に重要かつ難しい課題だと思います。

そこで、市長に質問します。市長は、これからの産業政策の中で、観光産業をどのように位置づけていらっしゃいますか?基本的な考えをお聞かせください。

京都には、西陣織、京友禅、京菓子をはじめとする優れた74の伝統産業があります。歴史と伝統に裏付けられた素晴らしい独自の文化と芸術です。しかし、伝統産業を取り巻く環境は年々厳しくなっており、市場規模も従事者数も縮小の一途を辿っており、事業の後継者問題に加え、原材料や製造用具等の生産者の後継者問題も抱えています。伝統産業に従事されている各事業者は、その中でも多くのチャレンジをされています。先日、みやこめっせで開催された「京まふ」では、伝統産業の技術でつくられたアニメやゲームのキャラクターグッズが多く並びました。ディズニーとコラボした伝統工芸シリーズ等も新しい形を模索されています。

しかし、伝統産業やその技術を次世代に繋いでいくためには、更に思い切った取り組みが必要ではないでしょうか。

昭和49年に施行された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」では、伝統的工芸品の指定要件として5つの要件が掲げられておりますが、その中には、「伝統的な技術又は技法により製造されるものであること」「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること」という2つの要件があります。ここでいう「伝統的」な技術や技法、「伝統的」に使用されてきた原材料というのは、原則として100年以上の歴史を有し、今日まで継続していることが基準となっています。昭和49年の100年前、つまり、江戸時代末期の時点での技法や原材料をそのまま引き継いでいることが要件となっています。

伝統産業も昔は普通の産業でした。江戸時代までは、環境に合わせ変化を繰り返すことで生存競争に生き残ってきたわけです。それが、現代に入って「伝統産業」という括りがつくことで、環境に合わせて変化することができなくなり、少しずつ衰退していってしまっているのではないでしょうか。

伝産法の定義する技術や技法はこれまでと同様に守っていく一方、環境に合わせた技術・技法・原材料の変化や革新にも寛容になり、京都市として応援していくことが必要ではないかと考えます。また、伝統産業には、「産業」の側面と「文化」の側面があります。環境に合わせた変化を許容しながら「産業」として自立を目指すとともに、「産業」として自立が難しいものは「文化」として保護をしていくことも考えていかなければなりません。

そこで、市長に伺います。後継者育成の問題が喫緊の課題となり、今まさに岐路に立つ伝統産業を次世代に継承していくために、「伝統を守ること」を基本としながらも「環境に合わせた柔軟な変化を促す」ため、伝産法の枠組みを超えた伝統産業振興策に取り組んで頂きたいと考えますがいかがでしょうか?

3、市バス・市営地下鉄の経営ビジョンについて

次に、市バス・市営地下鉄の今後の経営ビジョン、特に、公共交通の経営改善について質問します。
コロナ禍長期化の影響で、市バス、市営地下鉄の乗客数が大幅に減り、運賃収入減による赤字が深刻になっています。令和2年度の1日あたりの乗客数は、市バスは24万8千人で前年度に比べ10万9千人減・約3割の減少、地下鉄は26万7千人で前年度に比べ13万3千人減・約33%の減少となり、運賃収入は、前年度に比べて市バスは61億円減、地下鉄は88億円減の大幅な減収となりました。

有識者による市バス・地下鉄事業経営ビジョン検討委員会の審議の中で、経費の削減、運賃の在り方、収入増加策が検討されています。コロナの収束で乗客数がどこまで回復するかなど、予測が難しい面もある中で、運賃改定、定期券など運賃の在り方、市バス路線・ダイヤの見直しなど、スピード感を持って早急に実行しなければならない課題がたくさんあります。では、公共交通の使命である市民の足を守り、可能な限り負担増を抑えながら増収を図り経営の改
善をしていくにはどうしたらよいでしょうか?そこで、私は、市バスの通勤定期割引率を引き下げることを提案いたします。分かりやすくご説明するために、1か月通勤定期を例にとりお話し致しますが、3か月定期、6か月定期についても、同様の考え方に立って割引率を引き下げます。1か月通勤定期の割引率を、現行の30%から25%に引き下げることで運賃収入の増加を図るのです。他都市の割引率を見ますと、例えば、東京都の都営バス、横浜市の市営バス、川崎市の市営バスは、1か月通勤定期の割引率が25%であり、京都の市バスが割引率を25%に引き下げることは、東京都や他の政令指定都市などと比較して妥当だと言えます。市の財政再建を進めるにあたっては、他都市の水準と比較して、行き過ぎたサービスの提供を改めていく必要があり、通勤定期の割引率を他の政令指定都市の水準に合わせることは合理的であると考えます。確かに通勤定期は割引率引き下げで値上げになりますが、定期券代は企業などの使用者が負担するケースがほとんどであるため、勤労者本人の負担は増えないと思われます。企業には、公共交通を守るという社会的責任を果たすための応分の負担を求めるのは当然だと考えます。無記名式の通勤定期ならば他の従業員が使うことも可能であり、休日には家族が買い物に出かける時に使ったり出来ますから、通勤定期の割引率を25%にすることはそれほど負担増になるとは言えません。また、通勤定期を利用している乗客は変動の少ない固定客層であるため、割引率引き下げが乗客数の減少には結びつかないと思います。

そこで、市長に伺います。市バスの通勤定期の割引率を25%に引き下げることで増収を図ることを提案致しますが、いかがお考えでしょうか?

最後に、市バス、地下鉄の運賃改訂を行う場合は、値上げ幅を最小限に抑え、市民の負担を軽減することが必要だと考えます。特に、大学生、中高生など若い世代の負担が増える通学定期券の値上げは避け、現行の額を維持していただくことを強く要望いたします。

以上で、私の代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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