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基本計画における討論

地域政党京都党市会議員団は、議第53号の委員会修正案及び原案に対し反対の立場を表明しておりますのでその理由を述べます。

まず、今回の基本計画の策定にあたり、ご審議いただいた審議委員の方々をはじめパブリックコメントにて794名、1638件と各年代にわたって多くのご意見をお寄せいただいた市民の皆様には、心から敬意を表しますと共にその策定過程に対しては一定評価しておりますことを申し上げます。

しかし財政破綻しかかっている本市において、それをそのまま是とするわけにはいかないのが悲しいかな今日の京都市がおかれている実態です。いただいた答申を受けて市長におかれましては、今後の5ヶ年では着手が難しいものは凍結、あるいは国がやるべき環境政策などは思い切って国に委ねる等の対応はなされるべきであったと思います。これまでと同じトーンでしか市会に提案されていないことにおきましては、大いに課題を感じざるを得ません。

基本計画はもともと、財政のことが議決の対象となっているものではないことは理解しておりますが、とはいえこれが前提になるのも事実です。
本基本計画はまちづくりにおいて幅広く触れておられますが、そのすべての事業計画を持続可能に展開するためには健全な財政なくして成り立ちません。

今回示されている財政計画は今後5ヶ年のもので、公債償還基金残額1000億円以上を目指すことなどが記載されておりますが、全体としては持続可能な行財政における令和15年度までのプランに則ったものであります。
この財政計画を紐解くと、大きく3つの問題点があります。
1点目は特別の財源対策を続けることが前提であり、収入の範囲で財政をまわす目標から逸脱していることです。
次に2点目はこの延長線上に示される最終的に可とする公債償還基金残高473億円は、もはや財政破綻を回避できる次元とは言えない、ということです。総額1932億円を取り崩し、本来あるべき額の80%を失ってしまっては最終年度の時点で財政を立て直すことはほぼ不可能であり、持続可能な目標設定と到底言えるものではありません。
そして3点目は、歳入増加においては不確定要素も多く、特別委員会での答弁にあった一定の人口減の中での市税収入や、特定の大きな企業の業績に左右する法人税の増加は難しいと言えます。
これらのことからも今回の財政計画は財政破綻への延命措置にすぎず、令和15年度まではソフトランニングするものの、計画期間後に急激な財政難による市民生活への皺寄せが生じるものです。公債償還基金の取り崩し総額は本来あるべき額の50%を割り込まないようにするなどの視点も含めた、財政破綻をさせない線引きでの検討が必要です。

また、先に述べました通り、この厳しい財政下だからこそ総花的に理念を並べるのではなく、行政経営の観点に立った優先順位の構築が必要です。都市経営や持続可能性に大きく寄与する人口政策の重点化はもちろんのこと、文化芸術が経済を牽引するという点に関しては、戦略や施策に具体性に欠ける部分も多くコンセプトは立派でも絵にかいた餅ということになりかねません。
これまでの市政運営の成果として個人市民税の納税義務者数の増加を謳われておりますが、政令市は軒並み増加傾向であり京都市が突出しているものではないことも踏まえ、より冷静な都市経営への視点が必要と言えます。
都市格の向上と言えど、財政破綻してしまっては都市格を謳う余裕など到底ないため、今からでも街の存続をかけて都市経営への発想の転換が必要です。

なお、修正案については、公債償還基金の残高において、試算グラフの数値が改善されるならともかく、容認を含むような表現や、原案に示されていたグラフを削除するだけでは事実を市民に隠すことに成りかねず賛成できません。
以上の点から、今回の基本計画案は京都市の都市経営を持続的なものとし、急激な市民負担を回避するものとではないため委員会修正案及び原案に賛成できません。以上をもって反対討論と致します。ご静聴ありがとうございました。

令和3年3月26日
京都市会議員 江村りさ

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