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代表質問 神谷修平議員(2020年2月議会)

下京区選出の神谷修平です。昨年4月の市会議員選挙において初当選させていただきました。地域政党京都党市会議員団を代表して、江村議員、小山田議員に続きまして、質疑させていただきます。よろしくお願いいたします。

・京都市の防災対策について
近年、大阪北部地震や西日本豪雨など大きな災害が続き、市民の皆様の防災意識は年々高まっております。
私自身も、阪神淡路大震災で被災し、避難所での生活も経験いたしました。その経験から、今回京都市の防災について、いくつかの項目に分けて質疑させていただきます。

まずひとつ目は、避難所の充足率についてです。現在、市内の充足率は55.4%、最も充足率が低かった上京区では32.8%、私の地元下京区では57.4%であります。つまり、もし花折断層地震が直撃した場合、避難所に押し寄せた避難者の約半数の方が避難所に入れない、または最低限のスペースが確保されないという事態が起こります。そこで、充足率を100%にし、安心して避難できる環境整備をしていくことが求められます。その解決策として、災害時に小学校の教室を開放するという方法がございます。京都市では、教育委員会との調整や被災後、数日で再開される学校に支障をきたすケースが多いため、事前に学校の教室が開放されるかどうかは決まっていないのが現状です。しかし、教室を開放すれば充足率は100%になります。大阪市では、空調設備のある普通教室や特別教室等を使用することによって、災害時の様々な対応を考えておられます。さらに、緊急時の教室開放の権限を学校長から区長等へ移管し、現場で混乱せずスムーズに避難できるよう計画段階でのルール作りを行うことが必要であると考えますが、こういったことも踏まえ、現在避難所の充足率を上げるためにどういった取り組みをされているかお聞かせください。
また、災害用トイレの配備率の問題もございます。災害時は水道管破裂等で、大抵通常のトイレは使えないという事態が発生いたします。現在、市内の配備率は77.1%となっております。しかし、各行政区ごとの配備率を見てみると100%充足している2区に対し、配備率が50%台と低迷する2区と、区によってかなりの開きがあります。50%台の区では、即日トイレに行列ができ、汚物が溢れる事態が発生しかねません。この問題は、大半の災害用トイレが一部の大きな拠点備蓄倉庫に積まれており、各区に配備ができていないことにあります。配備するには保管場所の確保が課題かと思いますが、各学校に3~5基程度の災害用トイレの保管場所は、1基1平米くらいのスペースなので、やる気になれば確保できるはずです。また車椅子の方の災害用トイレの設置数がまだまだ足りていないとお聞きしております。したがいまして、今の状態をしっかりと把握し、各区に保管場所を確保していくことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
次に避難行動要支援者の名簿の取り扱いについて質問させていただきます。避難行動要支援者とは、自力で避難できない方々のことであります。この方々は出来る限り周辺住民の方々の力を借りて避難させねばなりません。にもかかわらず、地元では、どこに避難行動要支援者の方々がいるか実際のところ把握できていない状況です。なぜなら個人情報の関係により、発災してから名簿を提供するというルールになっているからです。現行では被災後、地元に名簿が提供されるまで最長3日がかかると予測されています。高齢者や障害のある方々は、健常者の方々より発災時の避難への意識は高く、それは逃げ遅れることへの不安から来るものであり、その不安解消のためにも平常時からの名簿の活用をすべきだと考えます。内閣府でも平常時での名簿の活用を推進しており、また他都市では条例を作ることによりこの問題をクリアし、平常時から地域と共有している事例も増えてきております。また平常時から名簿を利用できるようになれば、現在遅々として進んでいない、事前の個別避難計画を策定することも推進していくことができます。実際に災害が起こった場合、現在の把握状況では助けられる命が助けられない、という事態になります。災害はいつ起きるか分かりません。個人情報保護の観点は確かに重要ですが、これは人命に関わる問題です。平常時から名簿が使用できるようルール化していくべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
続いて、福祉避難所についてです。災害時の対応でもう1つ前に進めなければいけないのが、要配慮者の避難をサポートすることです。要配慮者とは、高齢者や妊婦、障害者のうち通常の避難所では生活できない方々のことです。要配慮者の方は福祉避難所に避難しますが、現状は一度、通常の避難所に行ってからでないと福祉避難所に入れないことになっています。しかし、要配慮者の方々の中には一般避難所に行ってからというのでは、状態によっては大きなご負担になるといったケースもございます。また、受け入れる一般の避難所の負担も大変なものになると考えられます。そういった観点からも福祉避難所に直接入れる仕組みづくりが必要であると思います。また、福祉避難所として現在289ヶ所が事前指定をされており、約8400人の方が利用可能な状況だとお聞きしています。それに対して、現在把握している要配慮者の方々は約62000人おられ、まだまだ不足している状況です。このような観点からも、まず行政区に一か所からでも試行実施を早急に始めるべきでありますし、受け入れ状況を改善していくべきと考えます。この二点についてお答えください。
次にペットの避難の問題です。ペットについては、発災時、その家族を置いて避難することはできないことから、避難されない方、車での生活を選ばれる方というのが、実際に熊本地震の際におられました。京都市では現在約90箇所において避難所へのペットの受け入れ体制のマニュアルが策定されています。このペット避難問題は、動物の問題と捉えず、飼い主が避難できないという人的課題だと捉えて取り組むべきものでもあります。ペットは飼い主にとってはとても大切な存在ですが、動物が苦手な人や動物に対してアレルギーを持っている人が共同生活を送る避難所では、ペットの鳴き声や毛の飛散、臭い等への配慮が必要です。避難所のペット対策については、事前にペット同伴避難のルールを決めておくことが重要になってきます。飼い主が責任をもって避難所でペットを飼育するための居場所の確保や、ケージ等を用意する等、具体的な対応を事前に検討すべきです。またペット避難所は屋外設置が基本となっていますが、室内犬は阪神大震災のように真冬時の屋外避難は生死にかかわる問題で、
当然飼い主としては屋外避難などさせられるはずもありません。その点についても、一歩進んだ屋内非難を検討せねばならないのではないかと考えます。併せて平常時から、飼い主の方々への災害時の備えについての啓発、また市町村へのペット同行避難に対する意識づけを定着させ、地域の避難訓練においてはペット同行避難も含んで行うようさらに啓発していくべきであると考えますがいかがでしょうか。

・京都市の文化財への防火対策について
続きまして、文化財の防火対策について質疑させていただきます。私自身、市会議員に当選させていただく以前は、文化財保存修復師として、10年間文化財に携わって参りました。その経験も踏まえ、何点か質疑させていただきます。
昨年の4月にフランス・パリのノートルダム大聖堂において発生した火災、昨年10月の沖縄の首里城での火災など世界的に有名な文化遺産が焼失する大変痛ましい出来事が連続して発生しました。ノートルダム大聖堂の内部には火災報知機や消火器はありましたが、スプリンクラーなど自動消火設備はありませんでした。首里城に関しても、火災で焼失した建物は復元されたものであったため、消火設備が不十分であったことが原因の一つであると考えられます。
京都市において今回の火災は他人ごとではありません。京都市内には数多くの文化財建造物が所在しています。本市においても、これまでに火災による貴重な文化財の被害が少なからず発生しております。日本の文化財は、可燃性の高い木や紙を材質とするものが多く、火災等で一度失われると、取り返しがつきません。そのため、その防火対策は重要な課題です。一方で、文化財保護法が改正され、昨年4月に施行されたところでございますが、観光を初めとした文化財の活用が今後一層促進されることになりました。このことにより、これまで以上に多くの人たちが文化財に接する機会が増えることが予想され、文化財の防火対策は、文化財の保存に加え、観光等で文化財を見学される方々の安全にもつながる重要な課題です。そんな中、文化庁は、昨年4月に文化財所有者に対して、
防火設備の整備状況等のアンケート調査を実施しました。この調査の結果、京都市の防火対策の状況は、国宝の場合、消火栓設備の設置率は100%でしたが、消火栓設備177件中38件の21.5%において設置後未改修による老朽化により問題ありと判明しました。重要文化財の場合、消火栓設備の設置率は87.7%でありましたが、こちらも1143件中155件の13.6%で未改修による老朽化により問題ありと判明しました。そこでお尋ねいたします。この消火栓設備に問題ありと判明した建造物に関して、今後どのような取組をされるのでしょうか。また、京都市指定の建造物に関しましては今回のアンケートの対象外であったことから、まだ状況を把握できていないとお聞きしています。市指定文化財においても早急な調査が必要かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
また、今回の調査結果を受けて、文化庁では、文化財の火災リスク等の把握と、それに応じた防火設備の整備の検討に関する新たなガイドラインを策定しました。とはいえ文化財の耐震に関する指針が平成11年度から施行されておりますが、実際のところ文化財の耐震化は遅々として進んでいないのが現状です。今回も新たなガイドラインが制定されましたが、防火設備の整備が進むか懸念されるところでございます。この点に関しては、一定の補助の充実も必要であると考えます。以前から京都府では府指定文化財への消火器の設置に関して、補助の対象となっておりましたが、京都市では市指定文化財への消火器の設置に関して補助の対象外となっております。来年度予算案では5年間、消火器の設置を含む防災対策において補助を拡充しておりますが、今回の新たなガイドライン制定を機に、京都市でも消火器の設置を含め防災対策の補助を今後も継続的に行っていくべきと考えますがいかがでしょうか。
 また、文化庁は、このガイドラインの中でスプリンクラーの設置を勧める通知を出しております。調査によれば、全国の重要文化財の施設でスプリンクラーを設置しているのは、4543棟の内のわずか66件。全体の1.5%にも満たない数です。なぜここまで設置率が低いのか。それは、費用面の問題もありますが、スプリンクラーは配水管を建物内部に張り巡らすため、文化財自体を傷つけてしまうリスクがあることや、
機器の誤作動により、万が一、火災が起きていないのに間違って作動すれば、貴重な文化財が水によって損害を受ける恐れがあるからです。しかし、ノートルダム大聖堂、首里城はともにスプリンクラーの設備がなかったため、ここまでの被害になってしまったことも事実であります。日本で初めて世界文化遺産に登録された国宝姫路城では、計1078個のスプリンクラーが設置されています。また、名古屋市においても、首里城の火災を受け、防火対策のため、昨年完成した名古屋城本丸御殿と、木造復元を目指す新天守閣にそれぞれ、スプリンクラーを設置する方針を発表しました。京都市にも、世界遺産であり、国宝でもある二条城がございます。姫路城では当初反対の声もあったそうですが、「一度消失してしまったら取り返しがつかない」として設置に踏み切ったといいます。名古屋城でも人命と同時に建造物などの文化財を守る観点も重要だと考え今回設置の方針に踏み切りました。もちろん元の姿を残すことは大切ですが、初期消火装置として効果のあるスプリンクラーの存在は重要です。
文化庁が移転してくる京都において、文化財の防火対策はほかの都市の指針となるべきだと考えますし、一定の態度を示すべき時期だと思います。二条城においてスプリンクラーに関して現在どういったお考えをお持ちでしょうか。また、スプリンクラーだけでなく、放火等の防犯にも効果のある監視カメラの増設による監視強化などの設備の一層の充実も必要であると考えますが、どういう対策を考えておられるでしょうか。お答え下さい。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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