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代表質問 大津裕太議員(2018年9月議会)

 中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党市会議員団を代表して市政一般について質問いたします。

<平成29年度一般会計決算について>

 最初に、平成29年度一般会計決算についてでございます。今回の決算も、28年度決算に引き続き、極めて厳しい結果であり、単年度収支は3年連続の赤字となりました。特別の財源対策は113億円にものぼり、「はばたけ未来へ!京プラン」で示していた、各年度の特別の財源対策を概ね100億円程度に抑制するという約束は守られませんでした。京プランの中期財政収支見通しは、平成28年度に示されてから、年度を重ねるごとに見通しが修正され、数字が悪化し続けております。京プラン最終年度である平成32年度には公債償還基金の取り崩しから脱却し、平成33年度には行政改革推進債も含め特別の財源対策から完全に脱却することを市民にも議会にも約束しており、これまでの議会答弁でも一貫して脱却できると説明をされてきましたが、本当に脱却できるのでしょうか?極めて懐疑的です。脱却ができるということであれば、改めて納得できるような具体的な収支改善のプロセスを説明ください。

 また、新公会計制度による財務書類によると、同規模の政令指定都市の横浜市、名古屋市、神戸市、福岡市との比較で、市民一人当たりの行政コストが最も高く、毎年上がり続けております。社会保障給付の増加を理由にあげておりますが、それは他都市も同じであります。また、世代間の公平性を表す社会資本形成の世代間比率も比較都市の中で高い方であり、こちらも毎年上がり続け、世代間の不公平が拡大し続けています。資産は老朽化が進み、将来的な多額な支出を潜在的に抱え、地方債の残高が高止まりしていることが原因です。これら2つの指標から言えることは、京都市は歳出が過大であり、それが将来世代への負担の押し付けとなっているということです。改めて、市長に確認します。これらを踏まえ、従前から何度も申し上げておりますが、予算規模の見直しが必要だと考えますが、いかがでしょうか?

 また、これは要望になりますが、新公会計制度による財務書類は約1年遅れでの公開となっております。今、公開されているのは平成28年度のものであり、決算議会の際にリアルタイムで活用できていません。29年度で導入から4年目を迎えます。作成に時間がかかるのは理解しますが、決算審議で活用できるよう同時期での公開を求めておきます。

ここまでを第1質問と致しますので、答弁をお願いします。


<自立支援介護について> 

 次に介護についてでございます。2000年に介護保険法が施行され、もう少しで20年が経とうとしています。財政面でも、介護職員の人手も面でも、介護保険の制度は行き詰まりを見せています。しかし、厚生労働省も、例えば、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせる混合介護を東京の豊島区でモデル事業として試験的に行うなど、新しい動きもあり、現状打破を期待しております。そんな中、もう1つの新しい動きとして「自立支援介護」の議論が盛んになって参りました。従前の介護では、どちらかというと出来なくなったり、不便になったことを補完することが介護でしたが、「自立支援介護」はリハビリを通じて低下した機能を改善することで本人の自立を支援する介護を言います。つまり、介護で症状を治すことで、介護からの卒業を目指します。事業者から話を伺う機会を得ましたので、いくつか事例をご紹介したいと思います。

 奈良の天理市は教育事業を展開するKUMONと共同で興味深い実証実験を行っております。それは、簡単な読み書き計算とコミュニケーションを交えた学習支援をKUMONのノウハウで高齢者に提供する「脳の健康教室」です。週に1回、教室に通い、「読み書き教材」と「計算教材」をそれぞれ3枚ずつ解きます。そして、採点をした後、当日の学習の振り返りをするという非常にシンプルなものです。また、教室に来ない他の6日間も自宅学習教材で同様の勉強を行います。認知機能を表すMMSEという指標があり、26点以下であると軽度認知障害や認知症の疑いがあるのですが、実証実験では、開始時に疑いのあった高齢者の8割以上のMMSEの数値が改善しました。つまり、子ども達が繰り返し学習に使っているKUMONの教材を高齢者向けにアレンジすることで認知症が着実に改善する結果が出たのです。

 また、株式会社ポラリスという介護事業者では、「自分の足で歩くためのデイサービス」と掲げ、「水」「食事」「排便」「運動」のケアをしっかり行いながらリハビリのプログラムを提供することで、歩行が困難になった高齢者が再び歩行できるようにサポートしています。こちらも多くの成功事例が出ており、「寝たきりから1年で介護を卒業した事例」や「脳出血の後遺症を克服し仕事に復帰した事例」など身体機能が改善した事例は枚挙にいとまがありません。私も、様々な事例を、動画で見せていただき、どんどん元気になっていく利用者の様子を目の当たりにしました。歩行のような日常動作がもう一度自立できるように戻すことで生活を整え、次に買い物や料理などもう一段階複雑な生活関連動作を自立させることができるのです。ここで言うリハビリとはパワーリハビリテーションと呼ばれ、老化に対するリハビリです。主にマシントレーニングを行いますが、筋力強化を目的としたプログラムではありませんので、軽負荷で行います。入浴より心臓への負荷が軽く設定しますので、運動によるリスクも抑えられております。その後、介護業界の方に話を聞く中で、まだまだ数は多くないですが、同様の取組をしている事業者が他にもあることがわかりました。

 自立支援介護は、サービスを受ける方にとっては健康になり、自分で様々なことできるようになりますから、とても喜ばしいことです。そして、社会全体にとっても、一度介護に掛かると掛かりっきりではなく、症状が改善し、介護を卒業する高齢者が増えることで、介護に掛かる社会的コストを大きく削減することができます。

 そこで、京都市の介護においても、この自立支援介護を積極的に進めたいと考えています。先ほどの天理市とKUMONの事例では、自治体から事業者への委託では珍しい、成果に合わせた成果連動型で報酬を支払っています。事業者も成果に連動して報酬があがるのであれば、自立支援介護を積極的に行う動機になります。成功報酬ですので、自治体としても減った介護費用を原資と考えれば、少しくらい多めに報酬を出しても、社会全体では十分元が取れます。利用者も事業者も自治体も三方よしであります。是非、自立支援介護の促進に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

<大学生の京都企業への就職支援について>

 続いて、大学生の京都企業への就職支援について、質問いたします。京都市は人口の約10%にあたる15万人近い大学生が在籍しており、全国でも人口当たりの学生数が最も多く、まさに大学のまち京都と言えます。大学入学ともに全国から流入する彼らは、大学卒業とともに首都圏を中心に市外へ流出をしております。京都で学んだ学生が、京都市内の企業に就職し、住み続けてくれたら、京都市にとっていかに有難いことかと思います。
 現役世代の人口が減る中で、今後、企業にとって人材の確保は益々難しくなり、経営上優先順位の高い課題となります。本市は多くの大学生が市内におり、京都企業は本来であれば採用戦略上、極めて有利と言えます。大学生が京都企業に就職することが進めば、企業が京都を拠点にする大きな動機にもなり、京都市の経済にとっても計り知れない好影響がございます。
 本市では、「京都中小企業担い手確保・定着支援事業」として、大学生や既卒者と市内中小企業のマッチング支援を行っています。キャンパスプラザ京都の中に「京都市わかもの就職支援センター」を運営し、市内中小企業の魅力発信や様々なイベントを開催しております。就職活動を直前に控えた3回生・4回生だけではなく、1回生・2回生にもアプローチを行い、プロジェクト型のインターンシップを提供するなど、新しい取組みがされています。
 しかし、実績をみると、大学への出張セミナーを入れても4,000人ほどであり、純粋な施設利用者は600人ほどしかありません。15万人の学生からみると0.4%にしかなりません。京都市が公共事業を行う事業としては影響力が小さすぎます。
本事業が更に成果を出していただくことが重要だと思います。私は、大学卒業後、新卒で人材紹介業最大手のリクルートエージェントに入社し、約4年間、企業と求職者のマッチングに従事しておりました。その経験も踏まえ提言をさせていただきます。

 京都市わかもの就職支援センターのFACEBOOKページをみると、ページに「いいね!」をして情報収集してくれてる方は約200人、Twitterのフォロワーで情報収集してくれている方は約300人です。この数字は、私のような学生でない者や、過去に利用して既に社会人になっている方も含めての数字ですので、現時点でセンターの対象者としてはもっと少ないと思われます。私の事務所に議員インターンシップで来てくれている学生やその友人に聞いてまわっても、京都市わかもの就職支援センターを知っている学生はきわめて少ないのが実態です。各大学にもキャリアセンターがあり、民間の人材系企業も様々なサービスを展開する中で、わかもの就職支援センターを活用してもらうためには、独自の強みをつくり、打ち出さなければなりません。特に、大学生は、テレビCMをしている、または、自分が消費者として知っている大企業に志望が集中する傾向が強く、その中で、中小企業の魅力に興味をもってもらうことは、難易度の高いことです。

 私は、わかもの就職支援センターに行けば、「紹介されている京都企業の数がどこよりも充実している」「紹介されている京都企業の情報の内容が最も濃い」という二点が必要だと考えます。つまり、京都が企業を探すなら「京都市わかもの就職支援センター」だと学生が明確に認識してもらうことです。京の企業訪問などで情報提供しておりますが、正直、情報量としては不足しています。各企業の情報濃度を高め、情報提供できる企業数も増やしていくことに、もっと力点を置かなければなりません。いかがでしょうか?

 また、わかもの就職支援センターは、「京都中小企業担い手確保・定着支援事業」という性質上、大企業を取り扱っておりません。京都市内に本社を置く上場企業は約60社ありますが、恥ずかしながら私自身も存じ上げない企業がいくつもありました。おそらく、学生はもっと知らないのではないでしょうか。大企業であれば自力で採用すべきで行政が手を差し伸べる必要がないというのが当局の見解だと思いますが、大企業であっても人材確保にかなり苦戦している実態があると思います。また、学生にとっても、興味をもってもらえる可能性が高い企業群と言えます。学生がわかもの就職支援センターに集まってくれれば、仮に上場企業に興味をもって来た学生であっても、他の企業を知ってもらえる機会が増え、結果的に成果がでると考えます。市内上場企業にも対象に広げることを提案したいと思いますが、当局の見解をお聞かせ下さい。

 以上で、私の代表質問を終わらせて頂きます。ご清聴有難うございました。 

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