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代表質問 森かれん議員(2018年9月議会)

 上京区選出の森かれんです。地域政党京都党市会議員団を代表し、大津裕太議員に引き続き質問いたします。
 日本では1週間に1人のペースで児童虐待でこどもが亡くなっています。平成27年の1年間で児童虐待死した人数は52人、月齢0か月以内に亡くなった子どもが13人と一番多く、生まれてその日に亡くなった赤ちゃんは11人であったと厚生労働省が発表しています。近年、目を覆いたくなるような虐待事件が何度も報道されていますが、

生まれてその日に亡くなった赤ちゃんのことを0日児と呼ぶそうですが、11人も亡くなったということ自体、警察などの出動などによって発覚したものであり、妊娠していることを周りに隠し、人知れず出産、その赤ん坊を遺棄した場合、その現場等を目撃されない限り、数字として表れることはありません。現在の妊婦に対する支援のスタートは「区役所での母子手帳交付」からですが、0日児を遺棄した約9割が母子手帳未交付だったということからも、産む決断ができないまま中絶できる期間が過ぎ、そのまま産んで子どもを遺棄するような事態は行政で把握することがほぼ不可能であることをまず認識しなければなりません。
そのため、特定妊婦の早期発見とフォロー体制構築は急務ですが、母子手帳をもらいに来るのをただ待っていてはつながりを持つことは難しいと考えられます。SOSを特定妊婦側からなんとか発信してもらい、そのSOSを行政側がいかにキャッチする体制を整えることが肝要ではないでしょうか。京都市では全国にんしんSOSネットワークにも登録されている「にんしんほっとナビ」という窓口がありますが、年間相談件数は平成29年度75件とほとんど活用されておりません。これは、需要がないから利用に結び付いていないというよりは、2つの点から「相談しづらい」のではないかと考えられます。1点目は窓口の開設時間です。電話相談は平日の10:00~15:00、土日祝には取り扱いはなく、メール相談についても年中無休で受け付けているもの、休日に届いたものについては平日になってから返事するといった具合です。これでは日中に授業や仕事のある人には相談しづらいのではないでしょうか。2点目は役割自体が単発の情報提供にとどまっているという点です。にんしんホッとナビのHPのトップは「どんなことでも相談ください。必ずあなたの力になります」という文字が掲げられ、人に言えない思いを打ち明けようという気持ちにさせる工夫がされているものの、いざ相談フォームに飛ぶと、「相談に対する回答は一般的な情報提供をその役割としている」と書かれており、これでは一問一答のようなやり取りで終わってしまうような印象を覚えます。ネットや書籍の情報ではなく、公的機関からの正確な情報提供ということも大切ですが、相談者目線に立った時、そのスタンスで「人にも言えない悩みを相談してみよう」と心を開かせることができるのでしょうか。一方、同じように妊娠期での相談窓口を運営する民間団体である「にんしんSOS東京」では、SNSでの相談窓口やyoutubeでの動画配信など大幅な予算を付けなくてもできる環境整備・広報をし続けている結果、毎月約100件の新規問合せがあります。窓口では保健師や看護師などの国家資格を持つ専任スタッフが、多くの人が電話を掛けやすい時間帯である16:00~24:00電話対応に当たられ、メール・SNSでの相談についてもほぼ即日返信することを徹底しています。私は実際に、にんしんSOS東京へ行き、お話をお伺いしてきました。担当者のお話の中で「実際にSOSを出してくれた方の多くは、親との関係が疎遠、パートナーに妊娠したことが告げられないなど、行政や人に頼ることができない人たちが多く、一回目の相談だけではまず信用してもらえない。相談窓口から必要な行政サービスにつなげやすい自治体のSOS窓口こそ単発の情報提供だけで終わらずに、相談を継続的に続け必要な支援へと導いてほしい」と指摘されています。
そこで市長に2点お尋ねします。1つは現在のにんしんホッとナビの機能を強化についてです。日中だけでなく夜間にも対応ができること、さらにSNS窓口も導入し、スマホをよりどころにする若い世代にこそ使いやすい環境を整えることが必要だと考えますがいかがでしょうか。2点目は、相談窓口での継続支援についてです。単発の情報提供だけでは、その人が抱えている不安や困難を打ち明けてもらうことも、本当にその人が求める支援につなげるのも難しいと考えられます。情報提供だけでなく、継続的に相談に乗り。
 次に、児童福祉司についてお尋ねいたします。厚生労働省では緊急対策として2020年までに児童福祉司をあと2000人増員させる方針が打ち出されました。この増員の算出根拠は、「児童福祉司一人当たりの虐待相談件数を40件にまで減らす」というものです。京都市に置き換えると、児童福祉司は57名、昨年の相談件数が1716件であったため一人当たりの相談件数は約30件となり、一見、児童福祉司が足りているように見えます。また、京都市は国の児童福祉司の配置基準よりも高い人口約2万6000人に1人児童福祉司がいる計算になりますので、他都市に比べると厚い人員配置となっています。だからと言って、京都市のおいて児童福祉司が充足しているということにはなりません。なぜなら、今もなお児童福祉司1人につき約140名の虐待案件を常時抱えているからです。学校現場でも、先生一人につき、30人~35人のフォローで精いっぱいだといわれている中で、児童福祉司は常に本人の様子や家庭環境、関係施設との連絡を密にしなければなりません。さらに虐待通報から48時間以内での安全確認のルールがさらに強化されたことにより、日中だけではなく夜間対応も求められる勤務体制となっています。そのため、必然的に児童福祉司の1家庭にかけられる時間は短くなるのは当然です。案件の重要度は異なるものの、常に気をかけなければならない家庭が一人当たり140件という状態は、職場にも担当者自身にも余裕がなく、小さな虐待の予兆を発見していくことは難しいと考えられます。1人当たりの案件数を減らし、きめ細かなフォローができる体制を作ることは必須です。一刻も早く、児童福祉司の大幅な増員を求めますが市長の見解をお聞かせください。
また、児童福祉司の専門性の向上にも力を入れなければなりません。児童福祉司という名はついているものの京都市の場合、保健師や看護師など国家資格を持つ職員は21名、研修を受けて児童福祉司になった一公務員は36名です。しかも、一定の資格を持つ職員以外は、ある日全く畑違いの部署から児童相談所へ移ってきてたった数年でまた違う部署へ異動していきます。一時保護所では日々、深刻な虐待を受けてきたにも関わらず「家に帰りたい」という子ども、一方で、「施設暮らしは同情されることが多いけど、私にとって施設は天国のような場所」という子どもがいる状態です。最終的に親子分離をするかそれとも家庭に返すかの判断は、子どもの安全確保の視点にはとどまらない、子どもの人生を左右しかねないものです。その判断をするためには、何度もヒアリングや会議を重ねながら、慎重に情報を積み上げなくてはなりません。そのため、児童福祉司には他の一般職・福祉職以上に知識や現場経験が必要です。京都市における児童福祉司の専門性向上は研修受講と先輩職員からの助言がメインとなっています。企業でも公務員であっても部署に10年以上勤める「10年選手」は重宝され、これから部署を引っ張っていくリーダーであり、ロールモデルとなる存在であります。専門性を醸成させることはもちろんですが、継続的に担当の児童や家族と向き合っていくべき人たちが3~4年でまた違う部署への異動することが繰り返されるのであれば、その都度引き継ぎされていくため、情報の抜けや漏れが出ることも十分に考えられます。そこで市長にお尋ねします。本人の意思を尊重した上ではありますが、児童福祉司に関しては他都市でも実施されている人事固定を京都市でも行い、ジョブローテーションから外すこと、さらに法的措置が絡む児童相談所の現場では、弁護士の配置も求められますので、弁護士の配備も検討すべきだと考えますが市長の見解をお聞かせください。
ここからは、先進的かつ強力に児童福祉に力を入れている明石市の取り組みをもとに質問いたします。昨年3月に「ゆるしてください」と手紙を書き残しなくなった目黒区で発生した5歳児虐待死事件で「児童との面会」について問題が浮上しました。当時の管轄児童相談所ではその家庭で虐待が行われていることを知りながらも、母親に面談を拒否され本人と会うことができなかったと報道されています。出生届が出てから小学校就学までに行政と子ども直接面会の機会は4回の検診の時ですが、検診に来ない。そこで明石市は「児童手当の子ども手渡し」という形をとり、100%子どもに会う仕組みを導入しています。「子どもに会わせてもらえなかった」ということを児童相談所だけの責任にするのではなく、民生委員にも協力を仰ぎ、保育所、学校、学童、あるいは小児科などでもその家庭の状況を見てもらうという体制も構築すべきではないでしょうか。市長の見解をお聞かせください。
結びに、里親制度の拡充についてお尋ねします。国では里親委託について、就学前の児童に対して里親委託75%以上実現ということを目標設定しています。しかしながら全年齢での里親委託率は全年齢で17.5%と非常に低く、未だ虐待を受けた児童の社会的養育については施設養護が8割を占めているのが実態です。京都市において里親委託をされた児童は平成28年度時点で40人で、京都の里親委託率は10.1%と全国平均から見ても少なく、里親制度の拡充は待ったなしであります。施設養育から家庭的養育への移行は全国的に求められているものでありますし、京都市においても里親制度そのものの認知を広げ、委託率を上げる取組が求められます。明石市では里親100%プロジェクトを平成29年1月に始め、就学前までに里親希望を出す児童を100%里親委託するという目標を掲げておられます。里親フォーラムなどの研修会の開催や、初めて里親になる方に里親制度がどういったものなのかということを体験してもらうため、学校の長期休みを利用して一時的に里親になる「ボランティア里親制度」など担い手を拡充していく取組を次々と導入しています。平成29年度には新規で2家庭が里親に、平成30年度では10名程度の方が里親になろうかと検討中と成果が出始めています。他都市の先進事例なども含め、担い手確保のための取り組みを積極的に行うことが求められますが市長の見解をお聞かせください。
 ご清聴ありがとうございました。

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