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代表質問 森かれん議員(2017年9月議会)

 上京区選出の森かれんです。地域政党京都党市会議員団を代表し、同僚の大津裕太議員に引き続き質問をいたします。

私事ですが、2017年7月に第一子を出産しました。おなかに命を宿すということは、大きな喜びに包まれながらも、「赤ちゃんを無事世に送り出さなければならない」という使命を抱えて生活することでもありました。日本の周産期医療は日進月歩で進んでいる一方で、リスクの大きい出産の割合は増加傾向にあります。2500g以下で生まれてくる「低出生体重児」だけをみても、平成2年時点では100人に6人だったのに対し、平成26年では100人9人と増加しています。良いお産をするためには、禁酒・禁煙、体重管理など産む本人にも努力がかかせません。けれども安心して出産を迎えるためには、現状に応じた周産期医療体制を整える必要があります。

1回の妊娠につき、母子手帳をもらってから出産までの間に受ける母子健康診断の回数は14回です。多くの妊婦がその期間、同じ場所に通いますが、里帰り出産以外にも妊婦あるいは胎児・新生児が高度医療を必要とする場合においては別の病院へ搬送されることがあります。通っていた病院から別の病院へ移っても、妊産婦の検査情報は引継ぎされないため、その都度過去に受けた同じ検査を行っています。妊産婦の検査結果や持病の有無、過去の出産の状況などを共通のサーバーに蓄積し、「高リスク出産」を扱う総合母子医療センター、京都市内には7か所ある「中・低リスク出産」を扱う地域母子医療センター、そして診療所や病院間をインターネットネットワークシステムで情報連携する「周産期医療情報ネットワークシステム」を導入すべきと考えます。これまでは病院で個々にしか管理されていなかった妊産婦の情報をサーバー内で蓄積し、京都市内の周産期医療機関で共有することが可能です。

2009年、岩手県が周産期医療情報ネットワーク「いーはとーぶ」を約3700万円かけて導入しました。導入によって得られるメリットは4点です。1つは、搬送時に受入病院が妊婦の状態を詳細把握しやすいという点です。緊急搬送される妊産婦、胎児の状態は一刻の猶予も許されない状況です。搬送時にあらかじめ過去の検査結果や持病の有無がわかっていれば、緊急で高度医療が必要になってもすぐに適切な処置が施せます。2つ目は、検査の重複を避けることができるため、母子への負担軽減さらに医療費の削減につながるという点です。サーバーから過去の検査結果を確認することができれば同じ検査を何度も行わなくて済みます。妊娠中は精神的にナーバスになりやすく、注射を打つことですら負担に感じます。妊娠健康診断では血液検査を始め様々な検査項目があります。検査が省略できればそれだけ、医療費の抑制につながります。3つ目は、母子健康手帳のバックアップが可能であるという点です。この母子手帳には妊娠の記録が書き記されていますが、2011年の東日本大震災では、津波によってそのほとんどが流され、紛失してしまいました。しかし、岩手県ではこの周産期サーバーがあったおかげで、その後、厚生労働省から渡された白紙の母子健康手帳にデータを書き写すことができ、この事例から周産期医療情報の電子化は注目を集め、独自に母子手帳の電子化を進める自治体も増えてきています。4点目は各種帳票の作成、台帳管理などの事務の効率化が図れるという点です。行政の事務もペーパレスになる部分も増え、その分コストも抑えることができます。

妊婦と胎児、新生児の様子を迅速に判断することが求められる周産期医療において、医療機関同士での情報共有は非常に重要であり、連携を強化していかなければなりません。さらに、導入に予算を費やしても長い目で見れば全体的な医療費・事務費の削減につながります。「周産期医療情報ネットワークシステム」を導入すべきと考えますがいかがでしょうか。

 次に、病児保育について質問いたします。「子どもを預けて仕事に行く」、この行為は現状「綱渡り状態」で成り立っています。特に、インフルエンザが流行する時期は「朝、無事に仕事に出られるか」という不安から始まり、仕事中も「園から呼び出しの電話がかかってこないだろうか」とひやひやし、帰宅してからも「発症したらどうしよう」と心配している人が大半です。育児と仕事を両立させるためには、単に保育園などの預け先があるだけでは十分ではなく、「子どもが体調を崩しても預け先の確保ができ、保育が継続できること」が非常に重要です。病児保育はひとり親世帯・共働き世帯にとって、仕事を継続するための頼みの綱であり、今後より一層ニーズが高まるといわれています。そのニーズに対応するためには、「増設」と「既存施設の効果的活用」の側面から考える必要があり、病児保育を充実させるには、2つの問題を解決しなければなりません。

1つ目は、施設数の不足です。他の政令市ではほぼ、行政区の数と同じだけ病児・病後児保育施設があります。京都市では各行政区に1つどころか丸太町通りよりも北には市の病児保育施設が1つもありません。さらに近隣政令市をみると、大阪市では約3億2000万円、神戸市でも約2億5000万円の運営補助費を出して病児保育サービスを実施していますが、京都市が病児保育にかける予算は約8500万円です。まずは空白になっている地区への増設が必要です。病児保育自体、需要は高いものの採算の合わない事業であるため、一定の補助を出さないと厳しいと言われています。

2つ目は、ニーズがあるにも関わらず利用に結び付いていない点です。まず、現段階では多くの病児保育施設が利用するために医師の診断書が必要です。子どもが夜に具合が悪くなり、次の日の朝に病児保育を利用したくても、まずは病院に行って診断書をもらわないと預かってもらえません。病院での手続きを終え、診断書をもらうまでに結局半日近くかかるため、仕事をそのまま休まざるを得ない保護者は多くいます。そのため、医師の診断書がいらない施設では常にキャンセル待ちが続いているにも関わらず、そうでない施設では流行り病のない時期には全く利用がなく、京都市全体でみると稼働率が低いという結果になるのです。現に医師の診断書がなくても預かり可能な施設もあるため、この項目は取り払うべきです。さらに、仕事場が自宅から遠い、あるいは近隣にこどもを見てもらえる人がいない方々は、保育園から「具合が悪くなったので迎えに来てほしい」という連絡をもらっても仕事場からすぐに駆け付けることができません。利用者目線から見れば、保育園から直接病児保育施設へ安全に子どもが送り届けるシステムがあれば使いたいという方も多いのではないでしょうか。実際に、東京都板橋区や千葉県船橋市などでは「病児保育送迎サービス」という、すぐに迎えに行けない保護者に代わって病児保育所の医療スタッフが代わりに保育園に行き、そのまま保育を行うサービスを開始しています。他都市の先進事例も取り入れることによって、生活者起点に立った病児保育サービスを向上させるべきではないでしょうか。

多くの保護者が、子どもの体調が悪いときには身内に助けを求めるか、仕事を休んで保育をしています。より生活者起点にたった病児保育の充実をさせるべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

 次に、第三子保育料についてお尋ねいたします。京都市の平成27年に生まれたこどもの数は11,070人ですが、第一子の出産が51%と過半数を占めており、第二子での出産が35%、第三子に至っては11%です。出生順位の割合は平成13年から過去15年間ほぼ変動しません。しかし、厚生労働省の調べによると「持ちたい理想の子どもの合計人数は?」という問いに対して、51.5%の人が「2人」、25.4%の人が「3人」と答えています。全国的に「3人目の壁」が依然として立ちはだかり、本当は2人目3人目と産みたいと願いつつも経済的理由などによって実際にはその壁が乗り越えられないのが現状です。

そんな中、京都市は平成27年度から第三子の保育料無償化を開始しました。養育費の負担軽減と出産促進の効果が期待されるため、京都党会派でも多子世帯の保育料無償化を求めてきました。しかし、京都市の「第三子保育料無償」には重大な落とし穴があります。夫婦合算の所得が約640万円を超える世帯については、子どもが3人同じ保育園に通う間のみ、三人目の子どもの保育料が無料になるだけで、一番上の子どもが小学校へ進学したとたん保育料的には2人目扱いとなるということです。このモデルケースならまだ、3番目の子どもの保育料が無料である期間がありますが、年齢の間隔が空いている世帯では全く保育料が無料になりません。現在、17階層以上つまり世帯収入が約640万以上の世帯は保育所へ預けている人々全体の32.4%です。全体の約7割の人たちは一番上の子どもが小学校へ進学しても3番目の子どもは無料であるにもかかわらず、残りの世帯には負担軽減にならないというのは非常に不公平ではないでしょうか。

もともと、保育料は応能負担のもとで運用されているため、同じ年齢の子どもでかつ同じサービスを受けるにも関わらず、保護者の収入によって値段が全く違います。そのため保育園に子どもを預ける保護者間の会話では「保育料」については口に出せないというお声を多く聞きます。32.4%に当たる保護者の皆さんは一般平均よりも所得が高いためなかなか「保育料が高い」とは言い出しにくく、目に見えた不満にはなりません。そもそも、この第三子無償について一部所得制限がなぜ設けられているのでしょうか?17階層以上、つまり年収640万円以上を超える世帯という条件は、女性の就労率や所得を上げようとする国の動きに対して逆行しており「母親の稼ぎは保育料でほとんど消えてしまう」という理由から「働き控え」なども起こりうるのではないでしょうか。また、今回の制度では年子や双子を持つ保護者には有利にできています。養育費軽減や第三子の出産促進するためには全体の制度を改正し、第三子を出産した方の保育料については全員無償にすべきと考えますがその点についての市長の見解をお聞かせください。

以上を持ちまして代表質問を終えます。ご清聴まことにありがとうございました。

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