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反対討論 同一労働同一賃金 村山祥栄議員(2016年9月議会)

同一賃金同一労働 討論

現在、正規雇用と非正規雇用に大きな賃金格差が発生していることは大変な問題です。
現在の正規・非正規の賃金格差は、「頑張っても報われない」「ただただ不公平」という人の本質に逆行する悪しき制度です。
同一賃金同一労働も一方で、長年勤めても、まじめにこつこつと頑張っても給料が増えないという制度になりかねず、職務給を残すことによって多少の差は生み出せるものの、単一労働に従事する社員は40代になっても50代になっても20代と給料が変わらないという状況を生み出しかねません。日本の企業の賃金の決め方は年齢や勤続年数など属人的な要素が強いのが特徴です。最も職務給の原則はわが党としても是とするところですが、画一的な同一賃金同一労働は様々な問題を生み出しかねません。
これまで日本の企業構造は、人のライフステージにあわせて給与を紐づけてきました。若手がばりばり稼ぎ、結婚、出産、養育と、一番経済的負担のかかる中堅世代に対し、若手に比べ多少労働生産性が下がっても、高い賃金を約束してきました。同一賃金同一動労は、勤続年数が増え、働き続ければ給与が増えるという日本型年功序列システムを崩壊させるという新たな問題を引き起こしかねない問題です。賃金をヒトから職に紐づけをかえるということは、長期雇用型から短期雇用型へ移行することも含まれております。
また、同一賃金同一労働は必ず人材の流動化させます。人材の流動化は中小企業の人員配置や人事計画を不安定にし、流動化する中にあって大企業は新人教育を十分に行わなくなります。企業が放棄した職業訓練についても議論が欠落したままです。
さらに、日本型雇用は、市役所もそうでありますが、配置換えというジョブローテーションが存在し、このまま導入すれば配置換えのたびに給料が乱高下するという問題も懸念されます。

これらの点から、必ずしも同一賃金同一労働の実現こそが、日本のひづみを解消するとはいえません。
非正規雇用の拡大は、小泉政権時代に派遣法が改正されたことに起因するわけです。
それは結果的に、今日に散見する新たな問題を引き起こしました。
ひとつ正せば、またひとつ新たな問題が発生するのはやむを得ない時代です。

 人口減少局面に入り、労働市場は今後急速な売り手市場へ変貌しつつあります。雇用条件を大幅に改善しない限り、労働者を雇用できなくなる時代がまもなく到来します。衣料品店のユニクロがパートを地域社員にしてきたこともそのひとつです。

そうした状況下にあって、これからは、グローバル企業で働く高度人材とローカルで働く地域人材を分けて考えるべきです。高度人材は自由競争の中で十分に稼げる存在であり、労働市場としては保護する必要ない人材です。一方、ローカルで地域に根差した専門性を有する技術職は、一定職に賃金を紐づけるべきだと考えます。同一賃金同一労働が一定効果を発揮し、その上に年功序列、職務給など複合的な賃金体系を絡めて成り立たせるべきものです。
しかし、現在は、これらの議論が不足する中
「同一賃金同一労働の実現こそが非正規を救える」
との論調が目立つように思えます。先ほど申し上げた通り、ひとつひずみを直すとまた一つひずみが発生します。それをいかに最小に留めるかが政治に課せられた責務です。
非正規労働者に対する公平公正な処遇改善に向け、丁寧な議論構築こそが先決であり、拙速な結論は避けるべきであるという指摘をし、反対討論と致します。

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