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視察報告~京都まなびの街生き方探究館~

先般、実施した京都党市議団研修について、次の通り報告致します。

研修実施日:平成24年11月14日(水曜日)10:00より
研修先:京都まなびの街生き方探究館
研修参加者:村山議員、佐々木議員、中島議員、江村議員

≪研修目的≫
現在京都市では、これまで長らく続いてきた公立高校入試制度の見直しがなされるなど、大規模な教育制度改革が起ころうとしている。この教育制度の新たな枠組みを構築する上でも、市の行政が担う高校までの学習に留まらず、社会人として生きていくまでを見越した教育の在り方が議論されている。これは、大学進学に視野を絞って高校までの教育を受け、大学に入った後にその後の人生設計に躓く人間が増えてきているといった状況も一つにある。今まさに、“どういった社会人になりたいのか”“働くとはどういうことか”といった大学卒業以降の人生を視野に入れた教育が求められている。
そこで京都市のキャリア教育として実施されている生き方探究館事業について、ステューデントシティ・ファイナンスパークの実態と教育カリキュラムの実態調査、及び検証を行う。


1.京都まなびの街生き方探究館の事業概要
一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育の一環として平成19年度に会館された。元京都市立滋野中学校内を活用し、ファイナンスパーク学習(人とくらしと家計のやりくり)、生き方探究・チャレンジ体験(働くことの厳しさと喜びを実感)、京都こどもモノづくり事業(モノづくりを学ぶ・モノづくりから学ぶ)、ステューデントシティ学習(仕事で学ぶ社会とのかかわり)の4分野で構成されている。生き方探究館を訪れる児童生徒は、事前に学習を積んだうえで本番を迎えることとなる。職業体験を行うことによって、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現することを目標とする。

2.予算及び職員数
年間予算 約9,000万円(人件費除く)
職員数  21名(正規12名、嘱託9名)

3.運営にあたって
(1)設備及びカリキュラム
ステューデントシティ、ファイナンスパークに設けられた各ブースは現実とほぼ同様に作られており、実社会を連想するのに十分な整備がなされている。また、カリキュラムにおいても、十分な事前学習を基に、本番では実社会さながらの職業体験をし、家庭を持っている条件の中でライフプランを練るようつくられている。設備及びカリキュラムは、児童生徒が社会の一員としてその役割を果たし自分らしい生き方を目指すのに適したものとなっている。

(2)ボランティアの協力
年間約5,000名弱のものボランティア協力を受けている。ボランティアの登録者数は200名弱(平成24年3月末現在)であり、若干名登録抹消があったものの増加傾向にある。ブースを持つ企業からのボランティア以外に、市民ボランティア及び保護者・地域ボランティアの活躍も多く全体の約75%を占めている。ボランティアの貢献により、ステューデントシティ及びファイナンスパークは利用した児童生徒一人当たり1.8円と低コストに抑えられている。

◆23年度ボランティア活動内訳
市民ボランティア 延 1,987名
保護者・地域ボランティア 延 1,641名
企業ボランティア 延   815名
京モノレンジャー(企業OB) 延   404名
 合計 延 4,847名


(3)ブース出店企業
現在ステューデントシティ及びファイナンスパークでは、京都の企業を中心に30社の企業がブースを出店している。参加企業に対する委託費等はなく、ブースの整備から人員の配置に至るまで企業が無償で協力している状況。ブース設置には初期投資に300~500万円がかかり、学習の実施日には各企業から社員(及びOB社員)がボランティアで参加いただく為、企業負担は非常に大きい。30店舗ものブースが整備されているのは、各企業の支援があってこそ成り立っていると言える。企業の更新は3年に一度。継続的に企業からの協力を得ながらも、より持続可能な運営体制が求められる。

4.結びに
これまで日本の教育には不足しがちであった大学受験や大学進学を終えてからの生き方を児童生徒にイメージさせる学習の意味合いは非常に大きい。社会人としての生き方を具体的にイメージすることで、児童生徒個々人に自然と自分の人生を自分で描いていく責任感を育んでいることが今回の視察で見受けることができた。
現在これほど充実した事業内容が実施できているのは、市民ボランティアや協賛企業の協力による部分が非常に大きいのが明白である。
今回調査した生き方探究館の利用は学校の授業の一環としてのみであり、地域住民や市民が自由に訪れ、見学できる体制ではない。また、周囲からどのようなことが行われているのかあまり理解されておらず、閉鎖的なイメージもある。本来であれば、授業を実施しない日(土日なども含む)の学校開放なども考えるべきであろうが、設置されたブースのセキュリティ等の問題から、学校を開放するためにはさらに企業やボランティアの負担を求めざるを得ず、厳しい条件となる。事業を拡大するほど京都市にとって費用負担が大きくなってしまうのである。
 以上からも、現在の実施状況、特に協賛企業の数や学習内容に関しては一定の評価はできるが、今後の事業実施に対する費用対効果に対しては十分に測定していく必要がある。また、今後も事業を継続していくならば、京都市の負担を著しく増やすことのない運営を目指し、継続的な企業の誘致や多くのボランティアの参加、また一定の利用者数を確保できるかどうかが今後の課題である。

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(文責:江村)

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