京都党市会議員団ブログ

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視察報告~九州~

先般、実施した京都党市議団研修について、次の通り報告致します。
●視察日
平成25年11月13日(水)~15日(金)
●視察地
福岡市・北九州市・熊本県・武雄市
福岡市役所
福岡県留学生サポートセンター
●視察項目
福岡市・北九州市(1日目)
【福岡市】
・福岡ゲーム産業振興機構
・マリンメッセ福岡
【北九州市】
・ゴミ収集事業の取組

熊本県・武雄市(2日目・3日目)
【熊本県】
・くまもんアートポリス(宇土小学校・球麿工業高校)
【武雄市】
・武雄市図書館
・ICTを活用した教育

●研修参加者
村山祥栄、佐々木隆吏、中島拓哉、江村理紗

●北九州市:ゴミ収集業務の民間委託化の取り組みについて
北九州市では現在、ゴミ収集業務を直営3割、民間委託7割の割合で実施されています。しかし、民間委託をすることによりコストも抑えられ、適正な行政サービスが維持されている現状を踏まえ、全面的な民間委託へと舵を切られました。
京都市は直営5割、民間委託5割を目標に取り組みが進められていますが、もっと高い割合で民間への委託を進めるべきであると京都党議員団は考えておりますので、その改革の最中にある北九州市の取り組みが京都市においても参考になると考え、視察に伺いました。

北九州市では昭和43年時点で直営7割、民間委託3割の体制でゴミ収集業務を実施されてきましたが、平成19年には直営3割、民間委託7割まで改革を進めてこられました。直営の経費が1トンあたり3万4929円、民間委託の経費が1万8221円と約半額で抑えられていること、また民間委託で問題なくゴミ収集業務が行われている現状を踏まえ、全面委託の決断をされました。

まず、課題となる人員の削減ですが、これは退職者の不補充で対応されてきました。また、京都市が直営の必要性の根拠としている東日本大震災時の仙台市の事例についても、ゴミ収集業務が3・4日で再開できていること、災害協定を他自治体と結んでおくことにより、しっかりと対応できると判断されております。

他にも、直営では3名乗車である一方、民間委託先では2名乗車で業務が行われており、これがコストを抑えていることや、収集業務だけでなく処理施設でも民間委託が行われていること、労働組合との交渉の話など非常に参考になるお話を伺うことができました。

北九州市で今回学んだことを活かし、京都市のゴミ収集業務における民間委託割合をさらに進めるように取り組んでいきたいと思います。

(文責:佐々木たかし)

●福岡市:福岡ゲーム産業振興という名の企業集積

ゲーム産業育成の歴史は意外と古い。街の面積が狭く、工場が少ないという都市立地を考えた時に、都市の産業集積はソフトしかないという福岡市の都市特性は、IT等に強い産業育成を背景にあった。そこで2003年、福岡をゲーム産業集積地にすることを目指し、民間企業3社で発足。そこに九州大学、福岡市が参画し、産学官の三位一体の組織活動を展開している。

福岡市は新規出店企業に立地交付金(オフィス賃料一年分+開発機材リース)交付や出店に関わる人材紹介、オフィス探し、情報提供などを行っている。ちなみに交付金は上限6000万円、賃料補助としては㎡あたり4000円が、一年間補助される。そもそも、工場のように大掛かりな施設も不要なため、意外とコストはかかっていない。会社の規模が小さいので十分なのだろう。統計をとりはじめた平成18年ゲーム産業従事者400人だったのが、25年現在で1000人を超える。小さいながらもじわじわとパイの拡大を図る。
機構としては、ゲームコンテスト、ゲームインターンシップ(ゲーム開発企業に限定したインターンシップの窓口となり、事業化)を行い、まさにゲームクリエーターにとって聖地となれるような仕掛けを行っている。業界がニッチで、産業として未成熟なのがポイントになっているように思う。かつてIT関係企業が、六本木や渋谷に集中したものに似ているように思う。

企業誘致は年々難易度が高くなっているが、ゲームというニッチでありながら、ヒットすると爆発力が大きい産業に目をつけて集積を図っていることに大きな意味がある。
ゲーム産業は主に制作会社(下請けメーカー、レベルファイブなど)と販売会社(バンダイ、スクエアエニクス、光栄など販売元)で構成されている。後者は東京に集中しているのに対し、下請けの製作会社は知名度のない技術集団で、ここの集積を狙う。

実は京都には世界屈指の販売会社任天堂があり、大手の製作会社トーセがある。そういう意味では、販売元と製作会社の両方を集積させることは十分可能なのではないだろうか。
かつてのコンビナート誘致のような大がかりの仕掛けでなく、小さいながら爆発力のあるソフトの集積は京都にとっても十分狙える市場ではないかと思う。同種で言えば、アニメなどもそういった部類だろう。

ただただ、総花的に企業誘致を展開するのではなく、京都らしい、京都のポテンシャルを最大限に高められる仕掛けが京都にも求められるのではないだろうか。

(文責:村山祥栄)

●福岡市:MICE観光誘致戦略

・アジアの国際として発展する福岡市
福岡市のMICE観光誘致は近年急激に成長を続け、2011年度の国際会議開催件数は221件と今や東京都に次ぐ国際コンベンションシティとなっている。その背景にはMICE都市としてアジア各都市20箇所へ航空便アクセスが充実している立地条件の良さや、空港や駅、MICE施設、娯楽、宿泊が半径約2.5㎞圏内に集積するコンパクトな都市構造となっていることなどが牽引している。またそれ以上に、これらの福岡市の特性を活かしアジアマーケットに特化した誘致戦略に始まり、国内最大級を誇る無料公衆無線LANサービス(Wi-Fi)や国内では先行して導入した交通案内の多言語表記、MICE専門の語学ボランティアの充実など、外国人受け入れ環境整備は他府県よりも群を抜いて充実している。その他、福岡ならではのエクスカーション(余興)として、観光目的として人気の高い屋台についても配慮がなされているのが興味深い。屋台は道路の不法占拠や景観への弊害から基本的に縮小の方向であるものの、観光の観点では福岡市のアピールポイントであることから一定は条例で残すこととなっている。
市民の暮らしやすさと魅力的な観光地としての追及は、ときにまちづくり(都市計画・設計)を行う上で相反する方向性を求められることもあるが、福岡市はそのバランスを見定めながら、国内でも有数の国際都市としての立ち位置を築いていると言える。福岡市がアジア圏での国際都市のイメージを確立していることは、Asia Week「もっとも生活しやすい都市」としてアジア1位(1997,1999,2000)、Newsweek「世界でもっともホットな10都市」、2位(2006)、Moncle「世界でもっとも住みたい都市」世界12位(2012)からも明らかであり、MICE観光誘致の成長はまさにその二次的効果とも言える。


・MICE施設の機能強化
福岡市のMICE施設は非常に充実しており、以下の表のとおりである。

【各施設の収容人数】
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(参考)一般財団法人福岡コンベンションセンターの施設案内資料より作成

これらの施設は埋立地に建設されていることも多く、結果的に海沿いに集中したとも見受けられる。しかしこれは戦略上の結果である。福岡市は、ウォーターフロントを中心にMICEクラスターを形成し、全体としてMICE施設の機能強化を図っている。このオールインワンの一体的な集積による効果は、キャパシティ拡大はもちろんのこと、それに伴うグローバルマーケティングで最大のアピールポイントともなっている。

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また、驚くべきことは、これら3施設の利用率である。それぞれの平成24年度利用率は、福岡国際会議場70.7%、マリンメッセ福岡83%、福岡国際センター86.9%となっており、この一体ではほぼ毎日複数の施設で何らかのイベントが実施されている。

特に今回現地視察したマリンメッセ福岡(建設費約320億円)は、延床面積が40,631㎡と3施設の中でも最大規模を誇り、展示機能のみならず、アリーナ機能として体操競技や過去には水泳大会(第9回世界水泳選手権大会福岡2001)が開催されるなど、非常に幅広い用途で利用されている。プールやスケート場の臨時設置は多大なコストを要するが、天候に左右されない屋内での開催を含め、福岡市の持つアクセスの良さや、宿泊キャパシティ、その他多くの利点から需要は多いとのことである。また、こういった大胆な試みを受け入れることにより、施設として箔がついていることも確かである。

一方、利用頻度が多いことから築15年程度で既に雨漏り等の老朽化が問題となっており、改築が必要となっている。その他、施設の維持管理費用も年間2億円近くを要するようだ。
エリア全体としての収容力、立地といったハード面の充実に加え、多様な対応というソフト面も伴わせ、福岡市はアジアのビジネス拠点として確実に成長を続けるに違いない。国内屈指の国際交流拠点として更なる成長を続ける福岡市の政策には今後も京都市のMICE戦略として学ぶ点が非常に多いと言える。

(文責:江村理紗)

●熊本県:くまもとアートポリス
くまもとアートポリスは1987年にスタートし現在も継続している事業である。文化的資産として後世に残り得る質の高い建築物を造ることを通して、地域の活性化を図り、併せて人々の建築文化への関心を高め、世界へ向けた文化情報の発信を目的としています。熊本北警察署や市営住宅をはじめ84の建築物が竣工されており、今後も天草市本庁舎の整備が予定されています。

くまもとアートポリスはコミッショナー制度に特徴があります。建築の依頼主は世界的な建築家が努めるコミッショナーからアドバイスをもらいながらデザインや設計者の設定が出来ます。現在のコミッショナーはプリッカー賞を受賞した伊東豊雄氏です。プロジェクトの施設は数々の建築賞を得ています。

宇土市立宇土小学校を視察しました。宇土小学校は日本建築学会作品選奨、ARCASIA建築賞ゴールドメダル、BCS(建設業協会)賞、AACA賞(日本建築美術工芸協会賞)を受賞するなど建築業界から高い評価を得ています。

http://www.kenchiku.co.jp/hihyo/1110.html

宇土小学校では小学生が休み時間に開放的な校舎を元気よく遊びまわっていました。子供たちからの評価はよいようです。しかしながら校長先生からお話をお伺いしたところ、デザインの特徴であるL字型の教室は解放的な一方で、一部の子どもにとっては他の視線や音が気になり授業に集中できないなどの問題が生じているとのことでした。デザイン性の高い小学校は地域のシンボルになり、子どもたちにとっても好意的に受け入れられます。ただし、一部の子どもたちにとっては必ずしも受け入れられるわけではなく、小学校の設計は慎重に検討する必要があるでしょう。

(文責:中島拓哉)

●武雄市:学校教育におけるICTの利活用
TSUTAYA図書館など、次々と様々な改革が行われ、全国的に注目されている自治体である武雄市。今回は学校教育におけるICTの利活用について視察に伺いました。

武雄市では小学校2校をモデル校に選定し、4年生から6年生全員に1人1代のタブレット端末を配布し、授業で活用しておられます。まだ始まったばかりの取り組みですのではっきりしたデータは出ておりませんが、生徒の授業における理解度も高まっており、今後全市的に導入を進めていきたいとのことでした。海外のエリート校ではIPADを全面的に導入しているところもありますが、武雄市での取り組みはまだ授業の理解を促進するための補助的な位置付けです。

また、授業でのICTの活用だけでなく、情報化を進める事により校務の効率化も同時に進めておられました。教師の業務が多く、子どもと向き合う時間が取りにくいとの課題も指摘されている中で非常に興味深い取り組みでした。

ノートを書くという作業の学習的な意義の検証も必要だと考えますが、今後IT化が益々進展する中で、そういった時代に適応した教育を設計していくことは必須です。武雄市の取り組みは今後も注視していかなければなりません。

(文責:佐々木たかし)

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